2017年12月20日水曜日

線形代数学II 第10~11回

第10回は小テストを実施.

その後, 今回にかけては固有値・固有ベクトルの応用として, 行列・線形写像の対角化.

対角化は, 行列の固有ベクトルがその大きさと同じだけ1次独立にとれるとき, 固有ベクトルを用いて基底変換行列を作ることにより求められる線形写像の表現行列表示と思うことができる.

応用として, 行列のベキ乗の計算.

年始以降は, 基本的に問題演習を行い, これまで学んだ内容の習熟をはかる予定.

確率・統計I 第10~11回

第10回は小テストを行った.

第11回は, 標準正規分布表を用いた正規分布の確率の計算法について.
まず, 与えられた正規分布を変数変換により標準化する.
標準化すれば, 表を利用することができる.

次回以降, 多変数確率分布に少し触れ, 大数の法則, 中心極限定理をやって本講義を終える予定.

2017年12月6日水曜日

2017年11月26日日曜日

線形代数学II 第8~9回

更新を忘れていたので2回分まとめて.

グラムシュミットの正規直交化の応用として, 部分空間への射影の計算を行った.
次に, 行列の固有値・固有ベクトルの求め方についての導入と計算問題.

来週は創立記念日, 12/6は森岡の用事のため休講.
12/13は小テストを行う.

確率・統計I 第8~9回

更新を忘れていたので2回分まとめて.

今年の講義では, 積率母関数をきちんと導入しているので, 平均や分散の計算も基本的にこれでできる.
(もちろん, 定義に基づいて二項定理や積分の諸公式をきちんと使うことも重要.)

9回途中までは二項分布.
離散型分布については他にも色々な種類があり, 分布を規定する関数が変わった分性質が変わるが計算の基本は同じ.
既に正規分布に入っているが, 詳しい計算は第10回から.

来週は創立記念日, 12/6は森岡の用事のため休講.
12/13に小テストを行う.

2017年11月12日日曜日

線形代数学II 第7回

正規直交基底の定義, いわゆるフーリエ展開とフーリエ係数, グラム・シュミットの正規直交化について.
正規直交基底を用いたフーリエ展開とその係数について, 係数が展開したいベクトルと基底の内積であるという事実は今後も重要になる (一般の基底ではそうはならない).

確率・統計I 第7回

期待値, 分散の定義と基礎的な諸公式の導出について.
後半はこれらにまつわる教科書の演習問題を解きました.

2017年11月1日水曜日

線形代数学II 第6回

前回に続き, 複素ベクトル空間の内積の定義といくつかの注意点について.
複素共役をとるので, 実ベクトル空間の場合と比べて注意するように.

線形写像に関連して, 行列の転置(専門用語では有限次元の場合の共役作用素, 講義中では触れず)と内積に関する関係について.

三角不等式とシュワルツの不等式の導出について.
これの導出そのものも重要だが, それ以上に``複雑でやや抽象的なノルムの計算では, 2乗して内積の計算に落とし込む"という計算手法の常識が大事.
ノルム計算において, 2乗しようと思えるかどうかが計算の上達, 数学の理解の上達のポイントの一つであると個人的には考えている.

確率・統計I 第6回

離散型確率変数, 連続型確率変数の定義といくつかの例について.
離散型はまだしも, 連続型における確率密度関数や確率, 分布関数の定義について, 従前からそれらには抵抗があるだろう, と考えて悩んでいたところ.
今回に関しては, 連続型の場合には, 確率≒面積と割り切ってしまうことで, むしろスッキリ導入できたのではないかなという気がしているところ.
(事前に直感的には明らかな例をやっていたのもあり.)

前回, ある学生から質問を受けた点について.
森岡は統計処理の専門家ではないものの, 常識論として以下のように回答しておいた.

統計においては,

データ集め → 統計理論による処理(推定・検定) → 統計的な結論

を得られるが, この統計処理の過程において, 確率分布(いわばモデル)を仮定して計算や分析を行う.
本講義で扱う確率分布は, このモデルの数学的な理解にあたる部分を行っている.
実用的な意味での有用性は, 続論となる確率・統計IIに譲ることになるが, 確率分布(モデル)の取り扱いや性質をよく理解しておくことは, 統計実務の前提となるはずである.

2017年10月26日木曜日

線形代数学II 第5回

表現行列の例題の演習及び解答と, 内積空間について.

今回は実ベクトル空間の内積とノルムの定義の確認.
また, {\bf R}^n だけでなく, L^2 (0,1) のような関数空間における内積も紹介.
(後々, フーリエ解析などで三角関数の直交系などが登場するため, 機械系の学生はこの種の積分には慣れておくべき.)

次回は複素ベクトル空間の内積についての確認から.

確率・統計I 第5回

ベイズの定理とその例題の解説.
続いて, 確率変数の定義.

確率変数は, 字面では抽象的で難しく感じるかもしれないが, 要点は全事象の各要素を数値化して変数として扱い, 微分積分の手法を適用可能にすることにある.

2017年10月20日金曜日

線形代数学II 第4回

線形写像の表現行列について.
今回は理論の部分について解説.
具体的な例題の解答は次回.

確率・統計I 第4回

条件付き確率とその諸性質について.
また例題をいくつか.

次回はベイズの定理について.

2017年10月16日月曜日

2017年10月12日木曜日

線形代数学II 第3回

線形写像とその例を紹介.
さらに線形写像の核, 像を求める例題まで.

確率・統計I 第3回

小テスト実施.

コルモゴロフの確率空間の公理, 加法定理など基礎的な確率の諸性質まで.

2017年9月27日水曜日

線形代数学II 第1回

初回はベクトル空間の復習.

復習事項は, ベクトル空間, 部分空間, 1次独立or従属について.
次回は基底の復習から始め, 線形写像に入る.

確率・統計I 第1回

本講義では, 統計理論および実務統計理解の基礎となる確率論について学ぶ.

初回は, 統計に関する概要と, 確率が必要な動機について概説.
その後, 古典的定義による確率の導入部分について解説.
特に, 高校で学ぶような確率の問題について, 標本空間, 事象を集合として整理することについて.
この考え方は, 後日学習する公理的確率の構成について必須となる.

2017年8月1日火曜日

フーリエ・ラプラス解析 講義終了後雑感

まだ他科目の処理があり期末試験の採点などには手を付けられていませんが, 色々と感じたことを.

1. ラプラス変換の「表」
機械系に限らず, 制御理論等ではラプラス変換は頻出かつ必須の計算テクニックとして教えられているようです.
制御理論の教科書をいくつか眺めてみましたが, 当然そこでもラプラス変換の定義は教えられており, 変換「表」はあくまでも基本的な関数の変換・逆変換を求めるための手段になっています.
(なお, 逆変換を計算によって求めるには, 厳密には複素線積分の知識が要るので若干ハードルが高い. 形式的にやることはできなくはないだろうけど, 学生には意味不明になるおそれも.)

もちろん, 「表」にある基本的な関数とその逆変換で済む場合にはそれを利用すれば良いと思います.
今回の試験では, 「表」をそのまま利用できない場合, 特に関数の定義が区分的に変わるような場合のラプラス変換を出題しました.
案の定, 形式的かつ強引に「表」を適用しようとして全く異なる解答に至った学生がかなり多かった模様.
(ちなみに, 各区間での関数は定数関数や一次関数で, 定義に従って積分をすればあっという間に求まる程度のものでした. 「表」と諸々の公式を複雑に組み合わせればそれでも求まるかもしれませんが, そこまでやるメリットはないし, 普通に積分すれば終わりです.)

今年度初めてフーリエ・ラプラス解析を担当しましたが, 工学系の学生であっても, このような工業数学, 応用数学に属する部分の理解は, もう少し基礎基本をきちんとやらなければいけないと思ったところです.
ラプラス変換に限ったことではないのですが, どうも基本的な数学・力学的な部分の勉強の仕方が根本的におかしいために, 機械系4力学の成績にも無視できない悪影響を及ぼしている学生も少なくないように見られます.
ラプラス変換の計算については, せめて順変換については定義に基づき計算できるよう講義中にも何度か説明をしたのですが, あまり伝わらなかったようです.
くどいようですが, これに関しては「表でしかできない」「表しか知らない」のは明らかに分かり方としておかしいので, 今後も機会があるごとにこの認識は修正していくつもりです.


2. フーリエ解析とオイラーの公式
フーリエ係数の計算は, 森岡ははっきり言って複素数形式の方が計算量が少なく楽だと思うのですが, 学生さんの意見は逆のようです.
やはり「複素数が怖い」という不慣れな感じは拭い難いようで.
とはいえ, 三角関数形式で部分積分を繰り返すことも, それはそれで凄まじい積分計算に感じられると思うので, こればかりは慣れだと思います.


3. 原理原則
上2つと関係しますが, 原理原則の理解はやはり相当程度重視すべきだと思います.
よく「工学部では計算ができれば良い」などと揶揄する声も聞きますが, 厳しいことを言うと, 現状では計算も危うい状況です.
(そもそも, 計算をするという行為自体にも原理原則の理解が必要です. 合成関数の微分や置換積分など, 関数の基礎的なことを体感的にでも理解していないとまともに使うことができません.)
機械系専門科目の教科書類にも, 理論的にどうしてそうなるのかということは工学の観点から当然書かれていますが, そういう部分は一切追わずにはなから例題や過去問の結論部分だけ暗記してやろうという学習態度がかなり横行しているように感じます.
結果, ちょっと設定が変わると何も答えられなかったり, 自分が行った実験は何をやっているのか, その背景は, といったことが全く分からないままになっている, ということが起こります.

こういう部分は, 数学の教員が基礎教育の段階から可能な限り拾っていかないといけないところだろうなとこの一年の業務を通じて感じているところです.

2017年7月25日火曜日

フーリエ・ラプラス解析 第15回

最終回.

直線上の熱拡散方程式の初期値問題の解について.
色々先延ばしにしてきたが, ようやく熱核の具体的な計算を行い, 熱核による解表示を畳み込みによって与える方法を述べた.

次回, 期末試験を実施してこの講義を終了する.

2017年7月17日月曜日

フーリエ・ラプラス解析 第14回

畳み込み積分とフーリエ変換の諸性質について.
その後ガウス関数の積分について.

次回は, 熱核と熱拡散方程式の解について解説し, 講義を終える予定.

微分方程式 第13回

残りの講義では演習を行う予定.

2017年7月11日火曜日

フーリエ・ラプラス解析 第13回

演習の答え合わせ.
次回以降, 畳み込み積分と, 無限区間上での熱拡散方程式の解の構成および熱核の定義を行って講義を終了する予定.
期末試験日程は近日中に教務システムで公表される予定.

2017年7月7日金曜日

微分方程式 第12回

連立線形微分方程式の解と相平面について.
解の導出の仕方はいくつかあるが, 係数行列の指数関数を求める場合は, その計算自体がほぼ解を求める計算のすべてである.
解の軌道の概形を調べるには, 係数行列の固有ベクトルがポイントになる.
各固有ベクトルについて, 時刻に関してどちらが早く減衰し, どちらの影響が強く残るのかで相平面上の軌道の概形が決まる.
安定性などもこれに関係して決まってくるが, 詳細は次回以降.

2017年7月3日月曜日

フーリエ・ラプラス解析 第12回

フーリエ変換の応用として, 熱拡散方程式の解の導出.
本当は熱核の導出もしたかったが, 例によって複素線積分などが絡んで面倒であったため割愛.

その前に, ディラックのデルタ関数について直観的な紹介.
ただし, 積分を用いた超関数的定義も紹介しておいた.
これにより, デルタ関数のフーリエ変換も自然に求めることができる.

以降はフーリエ係数, フーリエ変換の計算演習.
次回, これの答え合わせ.

期末試験までに, 畳み込み積分の導入と, 熱拡散方程式の解を熱核を使って表すことまではなんとか解説したい.

微分方程式 第11回

連立線形微分方程式について.
連立線形微分方程式を解く際の道具となる行列の指数関数の定義.
行列の指数関数は, 通常の指数関数のべき級数展開のアナロジーとして定義する.
(複素関数, 作用素の指数関数の場合なども同様の考え方をする.)

対角行列, べき零行列などに対しては具体的に計算することが容易である.
一般には, 対角化可能なら対角化することにより行列のn乗が計算でき, それにより行列の指数関数が求められる.
対角化可能でない場合にはジョルダン標準化が必要になるが, これは簡単のため割愛.

次回以降は, 行列の指数関数を利用して具体的に連立微分方程式を解く.
題材は制御理論などからも選ぶ予定.

2017年6月28日水曜日

フーリエ・ラプラス解析 第11回

小テスト実施.

フーリエ変換の続きを少々.
ラプラス変換同様, フーリエ変換も微分演算を単項式の掛け算に置き換える働きがある.

次回は, フーリエ変換を使って熱拡散方程式の初期値問題を解いてみる予定.

2017年6月23日金曜日

微分方程式 第10回

2階定係数線形微分方程式, 非斉次の場合の一般解について.
一般解は, 対応する斉次方程式の一般解と, 非斉次方程式の特殊解の重ね合わせで表される.
(なお, 2階方程式の解の一意性により, 特殊解は実は一意的である. この点についてはこの講義では詳しくは触れない.)

前回も触れたように, 非斉次の場合には非斉次項の関数に似た形で特殊解が与えられる.
2階方程式の場合には, バネの振動現象を想像すれば物理的直観に基づいて理解できる.
つまり, 外力を与えられたバネは, 外力と無関係に運動することはないので, 外力の形に沿うように運動する.
ただし位相のずれなどを考慮して, 多項式なら低階項を補い, 三角関数なら正弦余弦の重ね合わせを想定するべきである.
(未定係数法では, 必要以上の関数を組み合わせても, 結果的に余分な項は消えるので正確に「暗記」することを気にしすぎることはない.)

2017年6月20日火曜日

フーリエ・ラプラス解析 第10回

逆ラプラス変換について.
色々検討したが, 変換表によらない逆変換にはどうしても複素線積分や留数定理の知識を要するため断念.
平行移動等に関する幾つかの公式を確認してラプラス変換については終えた.
(元々, 機械系の専門科目でも用いられているので, そちらに役立ててもらいたい.)

以降はフーリエ変換について若干の内容を扱って行きたい.
できればFFTについても触れたい.

次回はラプラス変換の部分について小テストを実施.

微分方程式 第9回

中間試験の解答を少々.

非斉次の2階定係数常微分方程式について.
この場合は, 物理的直観からも分かるように, 解は非斉次項に影響され似た形になると推測される.
次回はこの考え方に基づき未定係数法を解説する.

2017年6月13日火曜日

フーリエ・ラプラス解析 第9回

今週からしばらくラプラス変換と微分方程式への応用について.
なお, 機械系の学生は機械制御等で既に学習している場合も多い.

ラプラス変換の定義と, いくつかの関数に対するラプラス変換の計算例.
また, 微分演算は, ラプラス変換を通じて単項式をかける操作に書き換えられる.
これにより, 例えばある種の常微分方程式を解くことは, 分数関数の代数的な計算に置き換えることができ, 機械的な計算により解くことが可能になる.

この際, 最後に逆ラプラス変換をする必要がある.
本来は, 逆変換を計算する一般的な方法があるのだが, 複素線積分を使って書かれているためやや敷居が高い.
機械系では, 基本的なラプラス変換の表といくつかの基本的計算規則により逆変換を求める方法が取られている.

微分方程式 第8回

斉次定係数2階線形常微分方程式の一般解について.
指数関数を代入することにより, 自然に特性方程式が得られる.
特性方程式の解が,

1. 実解
2. 実重解
3. 複素数解

のそれぞれの場合について, 一般解を記述できる.

物理的に重要な単振動など, 現実に現れる振動現象を表す解は, 往々にして特性方程式の複素数解に伴う複素数値関数を用いて記述されることが多い.

2017年6月6日火曜日

フーリエ・ラプラス解析 第8回

引き続き, 熱方程式の初期値・境界値問題の解の導出.
工学では厳密解が求まることは少ないと思うが, 原理原則として一度は経験してほしい.

基本的には変数分離のうえ, 境界条件を考慮して丁寧に定数決定していけば良いが, 最終的な形がフーリエ余弦級数(ディリクレ境界条件の場合には正弦級数)になるため, 実際の取扱では周期について注意が必要である.

次回以降は, 機械制御などの教育おいてよく用いられているというラプラス変換に一旦移る予定.

2017年5月29日月曜日

フーリエ・ラプラス解析 第7回

小テスト実施.

今回から次回にかけて, 機械工学全般で登場する物理現象の中から, 熱伝導方程式と波動方程式について, フーリエ級数の応用を紹介する.
今回は熱伝導方程式にノイマン境界条件+初期条件を課したものについての解の導出. 途中まで.

2017年5月25日木曜日

微分方程式 第6回

1階線形微分方程式の一般解の導出.
公式を代入して成り立つことを確認, でも良いが, 積分因子を求めて完全微分方程式として解く方法を用いた.

次に2解線形微分方程式の導入.
力学におけるニュートンの法則が2階方程式となるため, こちらの方が応用上現れることが多い.
今日はさわりのみで, 斉次方程式の解の線形性について.
線形代数で学んだ概念と関係が深いことを紹介した.

次回は中間試験を実施する.

フーリエ・ラプラス解析 第6回

フーリエ級数の平均2乗収束について.
ここは厳密にやるのは難しく, 可積分関数の連続関数による近似, 連続関数の三角多項式による近似, 等の基本的な事実を紹介したあと, 内積の線形代数的な取り扱いを使って, 三角多項式近似が最良近似であることを紹介した.
フーリエ級数の平均2乗収束はこれらの事実から導かれる.
なお, 以上の計算においてはε-δ法による収束の定義が用いられる.
これについても若干触れた.

次回は, 小テストを実施する.

2017年5月18日木曜日

微分方程式 第5回

完全でない全微分形方程式の積分因子の導出.
さらに, 完全微分方程式の応用として, 1階線形微分方程式について.
積分因子の導出の途中まで.

2017年5月15日月曜日

フーリエ・ラプラス解析 第5回

複素フーリエ級数の導入.
オイラーの公式による単純な式変形なので, 一度ちゃんとやれば分かると思う.

級数の収束について.
関数項級数の収束については, 機械系など工学系学科での微積分の講義ではなかなかきちんと取り扱うのは難しいと思われる.
フーリエ級数に関しては, 様々な意味での総和法とその収束が研究されている.
本講義では, その中でも各点収束と平均2乗収束について触れる.

今回は, C^2-級関数を仮定して, そのフーリエ係数は|n|^{-2}のオーダーで減衰することまで.
(本当はこの仮定は講義中で示した事例や応用を考えると不自然だが, 収束の件をどこまでやるのか, まだ悩んでいるところ.)

2017年5月12日金曜日

微分方程式 第4回

完全微分方程式の完全性の判定条件と一般解の求め方について.

完全微分方程式に現れるdx, dyという記号は形式的なものだと思っても良いが, 本当は陰関数の微分と微分形式から理解されるべきものである.
なお, 次回やる積分因子を理解すれば, 1階線形方程式も完全微分方程式の枠組みで理解できるので, 個別に覚える必要はない.

2017年5月8日月曜日

フーリエ・ラプラス解析 第4回

具体的な関数をフーリエ級数展開する実例の計算.
係数決定のための積分計算はとりあえずまじめにやりましょう.

関数の微分可能性や(不)連続性に応じて, フーリエ係数の減衰の速さ(つまり級数の収束性)が変化する.
特に, 展開する関数が不連続点を持つ場合には, 不連続点の近傍では収束が悪くなる.
これをギブス現象と言う.

最後に時間が少しだけあったので, 次回以降の複素フーリエ級数に使うオイラーの公式の復習.

2017年4月27日木曜日

微分方程式 第1回~第3回

微分方程式の前に導入と基礎事項.
数学的な部分では, 何が変数かをきちんと認識して区別することが重要.
つまり微分積分の基本的なことが最も重要.
(基本的, というと初等関数の計算みたいなことが連想されるようだけど, それだけじゃない. というよりそれ以上に重要なこと.)

また常微分方程式の理解においては, 多変数関数の偏微分, 全微分(微分形式), 陰関数, 合成関数の微分, などの初等的な扱いをきちんと理解していることが求められる.
(意外と工学部で使う教科書, あるいは講義・演習ではこのあたりのちゃんとした扱いが抜け落ちているように思われる. そのために, その後の力学や各種工学の科目で理解に支障をきたしているようだ.)

変数分離型.
変数を左辺右辺に分けて積分しましょう.
解は陰関数表示でも構いません.

完全微分方程式.
今日の説明は後で考え直すと少しおかしいところや誤解を招くところがあるのでGW明けにもう一度整理する予定.
完全微分方程式は, dxやdyを形式的に扱う分には大した計算ではないが, 本来は陰関数の微分, ならびに全微分(微分形式)からの意味付けがなされるもの.
dxやdyをまるで分数のように扱うのは, 気になる人は気になるし, 定義されていないといずれにせよ意味不明と思うので, 本講義ではそういう取り扱いは極力避けるつもり.

2017年4月24日月曜日

フーリエ・ラプラス解析 第3回

与えられた関数fをフーリエ展開する際の, フーリエ係数の決定について.
当面は級数の収束性については気にしないこととする.

フーリエ係数の決定には, 三角関数の直交関係が本質的なポイントになる.
直交関係は, 線形代数で学んだ正規直交系のことを思い出せば良いが, 内積が積分で定義されているので, 慣れるまでは違和感があるかもしれない.

次にフーリエ係数の計算式.
この式は, 暗記するよりも考え方を理解することが重要.
フーリエ解析の実践的な使用においては, 状況に応じて積分範囲(与えられた関数の周期に対応)を取り替えたり, 偶関数, 奇関数などを考慮して工夫することも多く, ``公式の丸暗記"だけではそのような取扱いに対応できない.

次回は, 具体的な関数を実際にフーリエ展開してみる.

2017年4月17日月曜日

フーリエ・ラプラス解析 第2回

波動方程式の進行波解と定常解(変数分離解)の導出.

進行波解の導出は, ある意味合成関数の微分法や積分法の復習.
ただし, 全ての解は進行波解の形をしているという事実は重要.

次に初期値・境界値問題に対する変数分離解.
結局のところ, 各変数についての単振動に帰着できる.
また, 境界条件から波数は整数値であるという制限が付く.
このことから, フーリエ級数の形が自然に導かれる.
(なお, 最後に急いでしまったので, フーリエ余弦級数のところで少しウソ言ったので, 次回訂正する.)

時間がかかってしまったのでダランベール解は省略.
背景に関してはここまでとして, 次回からは, フーリエ級数の計算法など中身に関してやる.
ここまでは背景なのでやや学生さんに求める知識としてはムリをしているが, 次回からは丁寧にやるつもり.

2017年4月10日月曜日

フーリエ・ラプラス解析 第1回

フーリエ解析の動機と物理的な常微分・偏微分方程式の事例並びに導出.

単振動の復習.
単振動の方程式の一般解は正弦波と余弦波の重ね合わせで表される.
フーリエ解析の素朴な考え方は, このような現象を表す関数(数学的には様々なクラスの関数)を正弦, 余弦の重ね合わせで表すことである.

次に振動弦を事例とした波動方程式の導出.
張力Tで張られた均質な弦が従う方程式を物理的に導出できる.
その結果得られた波動方程式は, 空間2階, 時間2階の偏微分方程式である.
これまで力学等で学んだ常微分方程式と比べても解くのは難しいが, フーリエ解析の講義を通じて解く方法を学ぶ.

最後に熱方程式(拡散方程式)の紹介だけ.
熱方程式はもはや振動現象ではないが, この場合も正弦, 余弦関数の重ね合わせで解くことができることを後に見る予定.

波動方程式のダランベール解と, 変数分離解から自然にフーリエ級数が現れることは次回.

2017年3月11日土曜日

メモ ``We denote by X"

英語で重大な勘違い(確認すると以前は正しく使っていたのにどこかで混同したらしい)があったのでメモ.

We denote by $f(x)$ a function of $x$.
$f(x)$ denotes a function of $x$.

これは正しい.
ただし, 後者は普通の言い回しで, 前者は数学では普通にある言い回しだが英語としてはあまり言わないらしい.
(外国人でも``これは正しい英語か?"などと掲示板で質問していたりする. そこでも``数学では普通にある言い回しだ"などと指摘されていたようで.)

他方,

We denote $f(x)$ a function of $x$.

とやってはいけない.

それと,

It follows from A that B is なんたらかんたら.

という言い回しを使えるようにした方が良さげ.

2017年2月5日日曜日

機械工学

機械工学において, 基礎となるのは連続体力学で, その内容は弾性体, 塑性体, 流体からなる, というのが修士論文審査などを通じて分かってきました.
とりわけ, 材料, エンジン工学, この方面ではこれを基礎として実験製作にあたっているようです.

来年度以降の数学教育においてはこの点を意識しておく必要があるように思います.

2017年1月11日水曜日

卒研生配属

本日, 機械系学科の卒業研究生配属が決定しました.
森岡は, 数理工学研究室多久和ゼミのメンバーとして, 共同で計8名, 単独では4名を受け持つことになりました.
(実際には共同運用なので, この線引きは緩いものだとは思いますが.)

理論系のゼミとしては人数が多く, また森岡個人としては, ゼミ生を持つという経験もほぼ初めてなので手探りになると思いますが, なんとか意味のあるものにしたいと思います.