2018年5月31日木曜日

解析学I 第7回

(有限)テイラー展開について.

テイラーの定理の証明方法は, 普通平均値の定理に持ち込んでやると思うが, 個人的に初学者に教える場合にはあまり好きではない(どうも「公式が空から降ってくる」ような感じがする)ので, 部分積分を使った方法で導出.
なお関数の滑らかさに関する仮定が強くなるのでそれはよくないのではないか, という指摘も受けたことがあるが, 機械工学の教科書をいくつか読むと, 重要なことは明らかにそこではなく後述の近似の考え方だと思うので, 剰余項に関する微妙な取扱いについては必要になってからで良いと自分は考えている.

テイラー展開の考え方の要諦は関数の多項式による近似.
剰余項は, n次多項式で近似するならば, 展開中心aの近傍でo((x-a)^n)となる.
実際, 力学の教科書等では, 非斉次の微分方程式を解く際, 非斉次項の「高次の項を無視すると」などとやることがよくある.
テイラー展開をちゃんと理解していれば当たり前だが, 非斉次項が多項式でない場合には戸惑う学生さんもいる模様.

なお, e^x, sin x, cos xのような基本中の基本となる関数のテイラー(マクローリン)展開はさすがに覚えておいたほうが吉.

次回は力学での実例を含めた演習問題.

プレプリント投稿

瀬川悦生氏との共同研究のプレプリントを公開しました.

Hisashi Morioka and Etsuo Segawa, Detection of edge defects by embedded eigenvalues of quantum walks, arXiv:1805.11742.

2018年5月28日月曜日

フーリエ・ラプラス解析 第7回

フーリエ級数の物理的な解釈とスペクトル分解について.

フーリエ級数は, 関数が表す現象を振動と思うことで, その各固有振動数に対応する単振動成分に分解したもの, と解釈することができる.
フーリエ係数は, 各成分の振幅や位相を表すパラメータだと思うことができる.

さらに, フーリエ係数からスペクトル強度を定義し, パーセバルの等式を導出した.

2018年5月24日木曜日

解析学I 第6回

まずロピタルの定理.
これについては, 適用出来る場合の確認と計算法, いくつかの例のみ.

本題.
無限小とランダウの記号について.
微積分分野においてもどうしても代数計算のみに走りがちな高校数学から, 微小な変化を捉える誤差や近似の概念が必要になるテイラー展開に向けた重要な準備のつもり.
最初なので定義もきちんと行ったが, 実際に使う際には有効数字の感覚に近い.
次回ももう少しランダウの記号になれるための問題をやってから次に進む.

2018年5月22日火曜日

フーリエ・ラプラス解析 第6回

フーリエ級数を周期関数に適用できるよう拡張.
と言っても, 積分範囲を平行移動すれば, これまで導出した諸々に帰着できることを確認するのみ.

フーリエ係数の計算練習問題.

2018年5月16日水曜日

解析学I 第5回

今回は微分法の演習問題.

問1. xのx乗という関数の微分法. 対数微分法で計算可能であることが知られているが, その基本になるのは合成関数の微分の正しい理解.

問2. cosh x, sinh x, tanh xのグラフの概形.

問3. 逆三角関数の微分法に関するちょっとした問題.

問4. 近似値の計算. 誤差を用いた微分法の定義式の書き換えは, 科学技術計算のような数値的取扱いにおける基礎中の基礎になっている.
これの発展バージョンがテイラー展開をはじめとする解析学の肝.

フーリエ・ラプラス解析 第5回

複素フーリエ級数の導入と複素フーリエ係数の計算法について.

オイラーの公式
exp (it) = cos t + i sin t

を用いることで, 三角関数型のフーリエ級数は指数関数型のフーリエ級数に書き換えることができる.
フーリエ係数は適当な関係式で複素数として変換可能.

複素数値であることにさえ慣れれば, 指数関数型の方が計算量は減るので楽である.
事例を一つ計算して今回は終了.

2018年5月9日水曜日

解析学I 第4回

合成関数の微分, 逆関数の微分.
既に高校の既習事項ではあるが, 色々と注意すべき点が多く, これらを確認.

y=f(t), t=g(x) ⇒ y=f(g(x))

dy/dx = ( dg/dx )(x)・( df/dt )(g(x))

のように, 変数が何であるかに注意を払って理解と計算をすべき.
特に, aを定数としたとき,

(d/dx)(f(a))  = 定数f(a)をxで微分せよ =0



(df/dx)(a)  = fの導関数のx=aでの値

とでは全く意味が違うことがあまり理解されていないことがあるので, これに気を付ける.

これの応用として逆関数の微分法.
特に逆三角関数の導関数の導出.

2018年5月7日月曜日

フーリエ・ラプラス解析 第4回

三角関数の直交関係を用いたフーリエ係数の導出について.
フーリエ級数にはいろいろと流儀があり, 基底関数として何を取るかに依存して係数が決まる. (線形代数におけるフーリエ展開と同様.)

いずれにせよ, 三角関数が関わる積分の計算が必要となる.
その具体的な計算方法と, 例題と練習問題を実施.